CVの決め手になったコンテンツとは?Matomo「トランジションレポート」の活用術
Webサイトを運用しているご担当者様であれば、「コンバージョン(CV)に直結するキラーコンテンツとは何か」を意識して、日々の業務に取り組まれているのではないでしょうか。
単なるアクセス数や滞在時間だけでなく、ユーザーが「よし、問い合わせをしてみよう!」と最終的に決意したコンテンツを知ることは、CV数を効率よく増やすための近道(ヒント)となります。さらに、この知見を他の運営サイトにも応用することで、企業全体のCV増加にも貢献が期待できます。
しかし、この最後の一押しとなったコンテンツまでを正確に把握できている企業は、実は多くありません。本記事では、この大切なユーザーの足跡を、複雑な設定なしで驚くほど手軽に特定できるMatomo(マトモ)の「トランジション」機能に焦点を当て、サイト改善の現場でキラーコンテンツを特定する活用術をご紹介します。
1. Matomoが誇る「トランジション」機能の凄さ
アクセス解析でユーザーのサイト内の回遊動線を把握する場合、多くのツールではレポートのカスタマイズや、データ探索の設定などが必要になります。日常業務のなかで、わざわざ重いレポート画面を構築して分析するのは、少し疲れてしまいますよね...。
Matomoを普段からご利用中の方でも、まだこの機能を使ったことがない方も多いかもしれませんが、「トランジション(Transitions)」レポートはCVのきっかけとなったコンテンツを誰でも簡単に特定できる大変優れた機能です。このレポート画面を開くと、画面の中央に分析対象のページが配置され、その左側にはそのページに来る直前のページ(流入元を含む)、右側にはそのページを見た後の移動先(離脱先を含む)が視覚的に表示されます。
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引用元:Matomo公式デモサイトの画面キャプチャ
上図ではカートページ(/cart)を中心に前後の動線が表示されていますが、例えばお問い合わせフォームを中心とした場合、その直前に閲覧していたサービス(CVの貢献コンテンツ)をすぐに特定できます。サイト上で複数のサービスを紹介しているにもかかわらず、各サービスごとの専用問い合わせフォームがないというケースも少なくないと思います。その際、このレポートを使えば「どこのサービスを見ての問い合わせなのか」が一目瞭然となるため、集計報告もスムーズに進みます。
2. ユーザーの動きから何を読みとるか?レポートが教えてくれるデータの本質
レポート画面が表示されたら、ただ単に眺めるだけでなく「ユーザーの心理」を考えながら見ることが大切です。ここでは、私が普段Webサイトの診断を行う際にもチェックしている、データの本質を見抜くための2つの視点をご紹介します。
【視点1】「サイト内の迷子(ループ現象)」に陥っていないか
特定のページを中心に据えたとき、左側の「前のページ」と右側の「次のページ」に、全く同じコンテンツが並んでいることがあります。これはユーザーがAページとBページを何度も往復している状態、つまり、うまく情報を見つけられずサイト内を迷っている状態とも考えられます。例えば、製品の紹介ページとスペック詳細ページを繰り返し見ている場合、ユーザーは「どちらのページを見れば自分が欲しい情報がすべて揃うのか」がわからず、混乱していると推測できます。このような場合、ナビゲーションや文章表現の改善によって、ユーザーを正しく導く動線の改善が必要です。
【視点2】「離脱」の本当の意味を見極める
右側の移動先に表示される「出口(離脱)」のボリュームの確認も重要です。離脱したコンテンツがサービス紹介や製品紹介ページで多ければ機会損失となってしまいますが、特に料金ページでの離脱は、ユーザーが価格を確認した後の意思決定に関わる重要なデータとして深掘りが必要です。例えばFAQ(よくあるご質問)や会社概要ページであれば、疑問が解決して満足して帰ったというポジティブな離脱である可能性も十分に考えられます。サイトの直帰は一概に課題とは言い切れません。対象となるコンテンツの前後の文脈から、ユーザーの納得感を推測することが大切です。
3. CVの引き金となったページを確認する実践方法
ここからは、マーケティング支援の現場でもよく使う、最も成果に直結しやすい実践的な活用テクニックをお話しします。
現場担当者としては、ついついアクセス数の多いトップページや注力しているページから順番に本レポートで分析をしてしまいがちですが、実はCVを効率的に増やすための方法としてこのやり方は遠回りです。効率的にキラーコンテンツを見つけるための鉄則は、ゴール(お問い合わせフォームの入力画面)のURLでトランジションレポートを開く、逆引きのアプローチです。
お問い合わせフォームの直前、つまりレポート画面左側のコンテンツを観察すれば、ユーザーがどのページを読んだ直後に「問い合わせをしよう!」と決意したのか、その"引き金(フック)"となったページが一目瞭然になります。
以前、ある製造業の企業様サイトでこの逆引き分析を行った際、面白い発見がありました。現場メンバーの予想どおり、「料金表」や「製品スペック表」がCVのきっかけとして高い貢献力を示していましたが、細かくデータを確認してみたところ実は開発スタッフのこだわりを綴った「現場スタッフの声(コラムコンテンツ)」もCVに複数貢献していたことが分かりました。この結果から、ユーザーは製品スペックの比較だけでなく、作り手の熱意にも共感した瞬間に、次の行動へと強く動かされていたことの新たな発見につながりました。
この「逆引きアプローチ」は、最終的な問い合わせ(CV)だけでなく、資料請求や製品カタログダウンロードといったマイクロCV(中間目標)の分析にも応用できます。例えば、資料ダウンロードフォームをトランジションレポートの中心に設定すると、「どの製品ページやコラムを読んだ直後」にユーザーが資料請求を決意したのかが把握できます。これにより、顧客育成(リードナーチャリング)においてどのコンテンツが最も貢献しているかを定量的に評価し、コンテンツ制作の優先順位付けなどにも活かすことが可能です。
このようにCVのきっかけとなった貢献ページさえ特定できれば、次の打ちとしてキラーコンテンツへの導線をトップページなどの目立つ場所に増やしたり、あるいはメルマガのラインナップに加えるだけで、問い合わせ数を底上げすることが可能になります。
まとめ:Matomoを使った便利機能をこれからも
アクセス解析は、具体的な施策を決めるための有効な手段です。活用しないともったいないマーケティング機能が、実はMatomoにまだまだたくさんあります。
当コラムでは今後も、単なるマニュアル的な説明書の枠を超えて皆様のサイトの売上や成果を伸ばすための「実践的な活用方法のヒント」を便利な機能紹介と合わせて定期的に発信していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。
弊社の「サポートサービス for Matomo」では、Matomoの安定運用に向けて伴走支援する保守だけでなく、今回のようなデータ活用をプロの視点から支援する伴走・コンサルティング活動に強みを持ったメンバーが揃っています。貴社のWebサイトが持つ本当のポテンシャルを、一緒に引き出していきましょう。