ヨーロッパ鼻科学会でAIの研究成果を発表
2023年6月23日
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室の由井亮輔助教らと、サイオステクノロジー株式会社の野田勝彦、吉田要らの研究グループは、2023年6月18日から22日にブルガリア共和国ソフィア市で開催された第29回 ヨーロッパ鼻科学会 学術講演会(29th Congress of the European Rhinologic Society)にて「鼻内視鏡ビデオを用いた人工知能による鼻副鼻腔乳頭腫の術前予測(原題:Preoperative Prediction of Sinonasal Papilloma by Artificial Intelligence Using Nasal Video Endoscopy: A Retrospective Study)」の研究成果を発表しました。
「鼻内視鏡ビデオを用いた人工知能による鼻副鼻腔乳頭腫の術前予測」について
鼻副鼻腔乳頭腫は良性腫瘍ですが再発や悪性転化しやすく、早期に診断して外科的切除を施行することが望ましいです。特徴的な鼻内所見から推定できる症例がある一方、診断が遅れる症例も散見されます。今回、人工知能を用いた鼻内視鏡動画における鼻副鼻腔乳頭腫の自動診断を研究しました。
本研究では、東京慈恵会医科大学附属病院において内視鏡下手術を施行した53例(鼻副鼻腔乳頭腫21例、好酸球性副鼻腔炎32例)の手術動画を用い、AIの精度と耳鼻咽喉科医が同じ内視鏡動画から診断した際の精度と比較する実験も行いました。
本研究で開発したAIは、少ない症例数でも、AUC 0.874、精度 0.843、偽陽性率 0.124、偽陰性率 0.191の精度で予測できることがわかりました。今後は、学習に使用する症例数を増やすことにより、精度の向上および臨床への導入が期待されます。
■特設ページ:第29回 ヨーロッパ鼻科学会 学術講演会
■発表資料:「鼻内視鏡ビデオを用いた人工知能による鼻副鼻腔乳頭腫の術前予測」(pdf)