〔Vol.3〕 統合運用管理ツールからの集中監視を可能にするLifeKeeper APIs

【VOICEs – 技術解説インタビュー】HAクラスターソフトウェア「LifeKeeper for Linux v9.1」に搭載された2つめの新機能が、大規模システムやプライベートクラウドを構成する監視・復旧対象の状態を一元的に把握できる「LifeKeeper APIs」です。本連載記事の第3回目は運用性向上をもたらす新機能の特長について、開発元のサイオステクノロジーBC事業企画部BC事業企画グループの五十嵐 久理、小野寺 章に尋ねました。

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各地に分散するノードの状態を一元的に把握する

― 前回記事(連載第2回)に続いて、LifeKeeper for Linux v9.1(以下、v9.1)のもう1つの新機能「LifeKeeper APIs」の特長について教えてください。

五十嵐:今回の開発で力を入れたポイントは、運用性の向上です。これまでも一貫してLifeKeeperで強化してきたテーマですが、今回v9.1では特に、大規模システムやプライベートクラウドにおける運用性向上に力点を置いて開発しています。

LifeKeeperはクラスター環境の構築と管理を行うためのGUI画面を備えていますが、「全国各地や海外に点在する複数の事業拠点で稼働するサーバーも含めて、本部で一元的に状態を把握したい」というニーズが市場で高まっています。

小野寺:そうした中、それぞれのノードごとに逐次LifeKeeperのGUI画面を立ち上げるこれまでのやり方は、監視対象としたい仮想マシンの急速な増加を背景に運用工数の増加を招き、システム障害の原因究明や早期復旧を阻む要因となります。そこで注目したのがLifeKeeperと、お客様が利用される統合運用監視環境との統合です。

サイオステクノロジー BC事業企画部 BC事業企画グループ グループマネージャー 五十嵐 久理(左)と、同グループ エバンジェリストの小野寺 章(右)

五十嵐:システムの統合運用監視環境を構築するには、日立が提供するJP1などのメジャーな商用製品、またはOSSのZabbixを用いたものが代表的ですが、今回開発した「LifeKeeper APIs」は、それら統合運用監視環境とLifeKeeperとの統合を実現するための汎用的な仕組みを提供します。

小野寺:具体的には、LifeKeeper APIsは外部システムからLifeKeeperの状態を参照することができるAPIです。例えば、お使いの統合運用管理ソフトウェアからこのAPIを呼び出してLifeKeeperの稼働状況を監視することで、統合運用管理ソフトウェアでLifeKeeperを含めたシステム全体の一元的な監視が可能になります。

ノードごとにLifeKeeperのGUI画面を立ち上げるこれまでのやり方(上)と、Zabbixなどの運用管理ソフトウェアからLifeKeeperを含むシステム全体を一元監視するやり方(下)

― 具体的にはどのような情報が、どういった方法で統合運用監視環境から得られるのでしょうか。

小野寺:得られる情報は大きくは2つ、ステータスとログです。ステータスは、各サーバーのノード名や稼働状況(ALIVE/DEAD)、コミュニケーションパス(系間監視用の通信経路)の稼働状況など。ログは/var/log/lifekeeper.logおよび/var/log/lifekeeper.errなどに蓄積されたものが対象になります。HTTP GETリクエストで返されたステータス(lcdstatus相当)は、GUI画面だけではなくCLIで処理することも可能です。

なお、今回、監視APIはクラスターの状態問合せ機能だけで、スイッチオーバー等の機能はないので保護は行いません。まずは、情報の参照から、という方針で機能を開発しました。早めに情報を参照することにより、システムに不具合の起きた、あるいはその予兆が窺える当該ノードを絞り込み、踏み込んだ対応を行う、というアプローチを想定しています。

例えば、ユーザー企業から問い合わせを受けたSI企業が、「今、お客様のシステムがどのような状態なのか」を知りたい場合に、APIが使用するポートだけを開けてもらえればリモートで状態を確認し、すばやく回答することにつながります。ノードそのものを利用するユーザー権限は必要ないので、セキュリティ面のリスクも抑えられます。

Zabbix対応のサンプルモジュールも公開

五十嵐:このLifeKeeper APIsのメリットをできるだけ早く手にしていただきたいと考え、v9.1ではまず、Zabbixへの対応を図りました。Zabbixからの監視を実現する無償のサンプルモジュールの公開をv9.1のリリースと同時に行う予定です。

加えて、LifeKeeper APIsは、前回紹介したQuick Service Protection(QSP)同様に、v9.1のコア製品にバンドルされており、追加料金なしで利用できます。

― Zabbixへの対応は、OSSの取り扱いに長けたサイオスならではの強みが生かされていますね。さて、今後はさらなる機能強化や他の統合監視環境への展開も考えているのでしょうか。

五十嵐:はい。エンタープライズITの運用性向上や企業の信頼を守る上で、お客様からの声を伺いながら、順次拡大していく予定です。今回はLifeKeeper API for Monitoring、という形でリリースしていますが、今後はLifeKeeper API for Managementとしてのリリースも検討しています。

小野寺:一例としては、クラスターシステムの状態を変更するような管理系コマンドなどを運用管理ソフトウェアのほうから投入できるような拡張も検討しています。お客様の中で、すでに統合運用監視環境にLifeKeeperを独自にカスタマイズして導入されているケースもあります。今後はそうしたお客様の高度なニーズにも柔軟に対応していきたいと考えています。

五十嵐:一方、パートナー企業においては、このLifeKeeper APIsを用いて「ユーザー企業の要望に応える監視のアウトソーシングサービスを提案する」といった、ビジネス面でのアドバンテージも得られるのではないか、と考えています。

LifeKeeper APIsは、ユーザー、パートナーとともに、新たな市場価値を生み出すオープン・イノベーションの可能性を秘めていると言えますね。さて次回は、LifeKeeper for Linux v9.1で提供されるソリューションについてご紹介します。

記事の関連情報

LifeKeeper for Linux v9.1プレスリリース(2016年6月29日発表)
〔Vol.1〕HAクラスターシステムの構築効率と運用性を高めるLifeKeeper for Linux v9.1(2016年6月29日公開)
〔Vol.2〕スクリプトレスでサービスの起動停止や監視を行うQuick Service Protection(2016年7月6日公開)
LifeKeeper/DataKeeperについて詳しくはこちらをご覧ください。
LifeKeeper for Linux v9体験版がダウンロードできるサイトはこちらです。

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