OSSコミュニティが集う文化祭に参加しました

【イベントレポート】 10月26日〜27日の2日間にわたり、Open Source Conference(OSC) Tokyo/Fall 2015が、明星大学にて開催されました。OSS推進フォーラムによる日本OSS貢献者賞および奨励賞の表彰式をはじめ、会場は多彩なセッションが目白押し。サイオスも前回春開催のOSC Tokyo/Spring 2015に続いてブースを出展し、来場者との交流を図りました。 #osc15tk

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オープンソースのコンセプトに共感する「コミュニティの文化祭」

秋晴れの2日間、延べ1,550名の参加者がOSC Tokyo/Fall 2015のイベント会場に足を運びました。

イベントの見所の一つは、1日目に行われた「第10回 日本OSS貢献者賞」および「第10回 日本OSS奨励賞」の授賞式。

サイオスも会員として活動に参加している日本OSS推進フォーラムでは、年に一度、優れたオープンソースソフトウェア(OSS)の開発および普及に貢献した個人や団体を表彰する各賞の受賞者を選定しています。

第10回 日本OSS貢献者賞に選ばれたのは、岡島 順治郎氏、奥 一穂氏、亀澤 寛之氏、古橋 貞之氏の4名です。

「Webをより使いやすくしたいと考えて開発してきた」と切り出したのは、高速なHTTP/2サーバーの実装であるH2Oの開発をリードする奥一穂氏。100ms(ミリ秒)の違いが売上に影響してしまうのがシビアなWeb上の商取引です。奥氏は企業でモバイルやWebシステムの開発業務に携わる傍ら、既存のWeb技術における課題に挑戦。ブラウザキャッシュに載ってないJavaScriptやCSSをサーバー側にプッシュする仕組みなどを考案しました。開発したコードはオープンソースとして公開。世界各地の開発コミュニティが標準化をはじめとし、Apacheなど他のOSSへの同等機能の実装化を促進しています。「職場でのクローズドなシステム開発とコミュニティでのオープンなソフトウェア開発、双方の活動で蓄えた知見がアイディアを具現化する上で好循環を生み出した」と奥氏は述懐します。

Linux OSにおけるメモリ管理の高速化やバグフィックスなどの開発・メンテナンスに貢献してきた富士通 Linux開発統括部の亀澤寛之氏は、「コミュニティ活動をして良いなと思うことは、『Thank you』と言ってもらえる機会が多いところ」と指摘。エンジニアとして大いにモチベーションアップにつながったと振り返ります。「私自身パッチを出す努力をしつつも、これからは社内外にOSSのエンジニアを増やし、こちらからThank youと言える機会を増やしたい」と笑顔で語りました。

ビデオレターでメッセージを送ったのは、トレジャーデータの創業者の一人でもある古橋貞之氏。古橋氏が開発したMessagePackは、データ自身が型を持ち(スキーマレス)、データをプログラムから疎結合化できるオープンソースの非同期メッセージングライブラリです。プログラミング言語や環境に非依存、なおかつセンサーやモバイル、クラウドの異種混合環境でも統一的にデータをやりとりすることが可能で、ログ収集基盤Fluentdやバッチ向けに再構成されたembulkにも活用されています。「OSSは一人の力では生み出せない。ドキュメント化や継続的な開発やサポートなど、世界の多くの仲間が参加するコミュニティあればこそ」。静かな口調でしたが語り尽くせない思いが滲み出ているようでした。

壇上に並ぶ各賞受賞者や関係者の皆さん

サイオス技術部も「夏休みの工作」を展示

OSCは、オープンソースに関わる多彩なコミュニティが一堂に会する"文化祭"。今年で11年目を迎えますが、運営に関わるノウハウを横展開しながら、全国の有志の手によってイベントは各地に飛び火しています。

今回のOSC Tokyo/Fall 2015では、会場の明星大学の教室を活用して各コミュニティがブースを出展。サイオスの技術部も、前回のOSC Tokyo/Spring 2015に続いて参加を果たしました。

サイオスのブースに展示された「自動経歴書作製装置」(!)

展示されたのは、OSCの開催2週間前から開発したシステム、名付けて「自動経歴書作製装置」。日本OSS推進フォーラムの理事で、開発に携わったサイオス OSSテクノロジーセンター長の黒坂肇(写真右)は細かな事情は省きますがと声を潜めつつ、「意欲あるエンジニアが一人でも多くサイオスに応募してきてほしい、という思いで業務の合間を縫って作り上げた」と、打ち明けます。

システムは、「写真撮影」「顔認識および画像処理」「写真付き経歴書の作成・印刷」を行う3つのサブシステムから構成されます。開発者の一人、サイオス技術部の早川了(データベースおよびセキュリティのスペシャリスト。写真左)は「サーバー側の開発言語やさまざまなデータ処理に、OSSやクラウドサービスをふんだんに活用した」と説明しました。

経歴書に印刷される氏名(ニックネームも可)や自己PR文、写真などの素材データは、独自に開発したiPhoneアプリやWebカメラ経由で取得します。

Webカメラの前に立ち、iPhoneアプリ画面上に表示されたシャッターボタンを押すと、Raspberry Pi(以下、ラズパイ)がHTTPプロトコルでPOSTされた情報を検知。連動するWebカメラで撮影された画像および、入力したテキストをクラウドサービス上に転送する仕組みです。

撮影された顔認識および、マスキング処理には、オープンソースのOpenCVが活用されています。

経歴書のレイアウトや印刷のタイミングは、Appleの位置情報サービスiBeaconを用いてキャッチ。氏名やPR文の入力に用いたiPhoneの接近をiBeaconが認識するとラズパイ側で、画像処理済みのデータをサーバーからダウンロードし、HTMLとCSSでレイアウトします。レイアウトデータはPDFファイルで出力、またプリンターで印刷される仕組みです。

開発したiPhoneアプリ上に氏名とアピールポイントを入力


iPhoneを操作してWebカメラで撮影

その場で、写真付きの経歴書がプリントアウトされる。顔にはなぜかマスク処理が。


入力テキストのPOSTやカメラ撮影機能、またiBeaconを利用した印刷機能といった一連のインタラクティブなイベントドリブン処理にはiPhone側ではSwift、サーバーサイドではPythonで記述されたCGI(WSGI)、そしてアプリ実行環境としてnode.jsなど、システムの随所にOSSが登場。

自動経歴書作製装置のシステム構成

しかも様々なOSSを効果的に組み合わせただけにとどまらず、「写真撮影においても単に顔写真が印刷されるのではなく認識された顔部分を画像(動物やオリジナルのキャラクター)でマスキングする、また印刷される内容をランダムで選択された声色で読み上げるなど、遊び心の実装にも力を入れた」と、黒坂は言います。

今回のシステムの制作には、サイオスOSSテクノロジーセンターの有志メンバーが参加。総監督・黒坂のもと、早川がプロジェクトリーダーとなり全体設計と構築、顔認識関連は原和久、iPhoneアプリ関連には手塚拓、クラウド上でのHTML自動生成関連では藤野治が、それぞれプログラマーとして参加しました。次回に向けてすでにシステムバージョン3の企画も開始しているとのこと。「どうぞ、ご期待ください」(開発メンバー)。


初日には一時、処理が滞るトラブルが発生。しかし冷静に対処し、翌2日目までには無事復旧。「デバイス間の通信やイベント処理のシーケンシャルなタイミングを図る部分に改善を施した」という早川の顔には安堵の色が浮かんでいるように見えた。

自動経歴書作製装置の周りには、興味深く経歴書作成を体験したり、システムの詳細を尋ねたりする参加者の姿が散見されました。

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会場の一角には、サイオス技術部が執筆に関わったエンジニア向けの書籍も並びました。

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OSC Tokyo/Fall 2015の懇親会も大盛り上がり

エンジニアや学生など大勢の参加者で賑わいを見せたOSCの2日間。「サイオスでは今後も、OSSの普及・発展に向けた活動を応援していきます」と前出の黒坂は述べました。

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