エンタープライズDBMS環境としてのAzureの優位性(後編)

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Mr.Aoki Azureの優位性と目指すサービスについて伺ってきたインタビュー後編では、PaaSとしてのAzureの強みや、Oracle、SQL Serverの移行、ユーザー目線でのDBMS環境選択のポイントから、スケールの大きな新サービスのお話しまで、盛りだくさんの内容です。

 引き続き、マイクロソフト社クラウド&エンタープライズビジネス本部、エグゼクティブプロダクトマネジャーである青木卓氏、同クラウド プラットフォーム製品マーケティング部の部長である斎藤泰行氏に伺います。

データベース環境におけるAzureの強み

–では次に、データベース環境としてのAzureの話に移りたいと思います。かつてのオンプレミスで運用していたデータベース環境と、Azureでのデータベース環境の最大の違いは何でしょう?

青木氏:
 Azureは、特に得意とするPaaSについては、すぐに使えて運用も考慮されている点です。バックアップも自動で取りますし、PaaSについては冗長化され、アプリケーションなども二重化されています。IaaS上でSQL Serverを運用する場合は、バックアップも冗長化もまだユーザー自身で対策する必要がありますが、PaaSベースであれば運用が非常に便利なところに優位性があります。

–では、データベースの構築や運用について、Azureが他のクラウドに比べて優れている点は何でしょう。

斎藤氏:
 Azureの仮想マシンの信頼性は、現状で 99.95のSLAを提供しています、さらには SAP HANA Large Instances では99.99のSLA を提供しています。この点に関しては、他のパブリッククラウドに先んじているはずです。

 またAzureのデータセンターはワールドワイドで40箇所ありますが、すべて統一されたハードウェアを使っています。これにより、世代交代はありますが、スワッピングも容易で、何よりハードウェアに関するより多くのデータが蓄積されます。この膨大なデータが機械学習の精度を上げるため、故障予兆の精度が上がるわけです。また、大量に安く仕入れてお客様に安く提供することができるというメリットもあります。

ただし、マシンは壊れるものであるいうことはどんな環境でも共通です。やはりアプリケーションレイヤーでの冗長化は、IaaSを使っている限り絶対に忘れてはいけない。これは強く訴え、冗長構成を組む方法などの情報をもっと出さないといけないと思っています。

AzureにおけるOracleユーザーの傾向

–Azure上でもOracleのデータベースを使い続けたいという人は、今も多いのでしょうか。

青木氏:
 OracleのデータをBYOLで持ってこられた場合、我々も正確に把握することはできませんが、それなりの数はいても不思議ではありません。

 データベースのワークロードに最適な仮想マシンはDシリーズと呼ばれているものの中でも、プレミアムストレージという速いI/Oが付いている仮想マシンなのですが、これのLinux版が結構出ているので、Oracleもその上で動いているのだろうなと思います。

 また、Oracleに関しては最近ライセンス体系が変わり、クラウドに持ってくるとコストがかさむため、何らかの代替案に関するお問い合わせは非常に多くなってきています。

 例えばOracleを使うソフトウェアを開発するISV様が、Oracleを使い続けることにより自社製品そのものの競争力低下を危惧するようなケースです。

–そういったお問い合わせに対して、御社はSQL Serverのご提案をされているのでしょうか。

青木氏:
 確かに今まではそうでしたが、実際に移行しようとすると移行コストの方が高くつく場合もありますので、その場合はAzureに乗せてトータルコストのダウンを図るといったご提案をすることもあります。

 現在ではPostgreSQL on Azureや、MySQL on Azureのご提供が可能です。既に「オープン」が大方針ですので、SQL Serverに固執することなく、マイクロソフトとしてのベストな解を、お客様のニーズに応じて提案しています。

SQL Server 2016の特徴とAzure上でのサービス

— SQL Server 2016が出て一年以上が経過しますが、2016への移行、もしくは2016の利用は増えていますか。

斎藤氏:
 新規構築の場合はSQL Server 2016が主流です。旧バージョンからのアップグレード先としてもSQL Server 2016が圧倒的となっていると理解しています。

–SQL Server 2016が出た際、Standard EditionでもAlways Onの可用性グループが一部利用できるようになり、データのレプリケーション構成も作れるようになりましたが、それはクラウドへの移行やクラウドでの利用を狙ったものでしょうか?

斎藤氏:
 いいえ、一番の目的はISVへの対応です。今まで、Standard EditionとEnterprise Editionは機能セットがかなり違ったため、アプリケーションで使うためにはそれぞれ別に検証する必要がありました。それを、あくまで求められるトランザクションの数や、サイズのスケーラビリティといったビジネス規模の部分だけの差別化として、SQL Server 2016のSP1から機能セットに差を設けないという考え方に変えたのです。

 これにより、ISVはソフトウェアをひとつ作っておけば、お客様のビジネスが大きければEnterprise Edition、小さくなればStandard Editionのパッケージに変わるだけで、検証の負荷が減ります。

–現在は、IaaS上でユーザー自身がDBMSを構築・運用することもできれば、マネージドサービスの利用も可能です。いずれのケースでも複数のDB製品のチョイスがあります。ユーザーとしてはどのような視点から自身に合うDBMS環境を選択していけば良いのでしょうか?

Mr.Saito斎藤氏:
 それはお客様企業のエンジニアが何に親和性があるか、というところがひとつと、どのようなアプリケーションをそこで動かしたいのかということがひとつ。それと時間軸、この3つの要素を踏まえ、プラットフォームを選択することになるはずです。

 新しいアプリケーションを構築する際に、MySQLを使っているエンジニアが大勢いるのであれば、最初からPaaSのMy SQLを選択すればいいでしょう。

 オンプレで運用していた一万人の従業員向けのERP環境を、極力手を加えず速やかにAzureへ移行するなら、これはIaaSで、SQL Server、SAPで、冗長構成を組めばいいわけです。

 ただし、これからグローバルに対し、新規でコンシューマー向けアプリケーションを作ろうとなったときには、IaaSでMySQLという選択肢はないですね。マイクロソフトはグローバルレベルのスケーラビリティを持ったPaaSとして最近、「Cosmos」を発表しましたが、これは自動でレプリケーションを行い、一番消費者に近いところでデータベースのマネージドサービスを提供できるという、グローブレベルのサービスです。グローバルじゃないですよ、グローブ(地球)レベルでスケーラビリティを確保できるデータベースエンジンです。グローブレベルでいつ誰が来るのかわからない、急にスパイクして一億人のユーザーになるかもしれない。一万人と一億人はこれはもう全然違いますから、これはPaaSでCosmosにしかなり得ない。

 つまり先ほどの三つの要素ではどれが重要なのか、アジャイルなのか、エンジニアの数なのか、アプリケーションの種類なのか。これをトレードオフしながらプラットフォームを選ぶわけです。私たちはそこに対して多様な選択肢をAzureから提供できるようにしています。

クラウドデータベース時代にサイオスがお手伝いできること

–クラウド上での可用性が100%でない以上、今後もエンタープライズシステムをIaaSで運用する際には、やはりユーザーの責任において何らかの対策を施す必要のある領域が残ると思います。

サイオステクノロジーは“SANLess Clusters”と呼んでいる、Windows Server Failover Clustering(WSFC)機能とサイオスのDataKeeper Cluster Editionの組み合わせで実現する共有ストレージ不要のクラスターソリューションを提供しています。このようなソリューションの今後の必要性に関してはどう思われますか。

青木氏:
 SQL ServerのStandard Editionでも「Always On可用性グループ」が使えるようになったとはいえ、例えば複数のデータベースを利用するケースなどでは、「Always On 可用性グループ」ではなく「Always On Failover Cluster Instance」とSANLess Clustersの組み合わせ方が運用面での簡素化を図ることが可能です。

 SQL Serverを熟知した十分な数のエンジニアがいれば運用面での心配も無いのかもしれませんが、必ずしもそのような理想的な環境ばかりではないでしょう。

–我々として強調したいポイントとしては、“SANLess Clusters”は、SQL Serverだけのものではないということです。SQL Serverの冗長化のほか、ファイルサーバーの冗長化や、SAPのアプリケーション環境などに対しても、同じ仕組みでHA化できるところがポイントです。

斎藤氏:
 基幹業務システムでも従業員向けであればIaaSで十分運用可能ですし、実際にそれらシステムのクラウドシフトには、かなりの勢いを感じています。基幹業務は落としてはいけないので、必ず冗長構成を組まないといけませんから、一定のノウハウを蓄積しているクラスタリングソリューションのニーズは当然あると思います。

また、Azureでも、それに対応できる仮想マシンをどんどん出していきます。

 米国では発表しましたが、仮想マシンでありながら128コア、メモリが3.8TB乗っているものがあります。これは何かというとS/4HANAという基幹システムが動くわけです。S/4HANAをクラウドで動かす際の冗長化のニーズは間違いなく100%存在します。我々もSAP on Azureに関しては、多数のお問い合わせを受けています。あとは、その環境での冗長構成をどうやって組むのかといったノウハウが必要とされています。

–SAP向けDBMSとしては、今後HANAが急速に主流となっていくのでしょうか?

斎藤氏:
 それは時系列とベクトル、先ほどのファクターのうち時系列の要素が多いと思います。これからはSAP HANAにしかモノ作りをしないとSAPが言っている以上、そこを見据えてしまうとそれを選ばざるを得なくなります。しかし、ハードウェアの技術がアップしてパフォーマンス上の課題が解消される中、2020年くらいまでなんとか持たせたいというお客様も実は意外と多いです。その場合は確実にSQL Serverになるでしょう。

–本日はありがとうございました。

Microsoft

貴重なお話、誠にありがとうございました!

 

Mr.Saito

斎藤泰行 氏

日本マイクロソフト株式会社
クラウド&エンタープライズビジネス本部
クラウド プラットフォーム製品マーケティング部
部長

 

 

Mr.Aoki

青木卓 氏

マーケティング&オペレーションズ部門
クラウド&エンタープライズビジネス本部
データプラットフォームチーム
エグゼクティブプロダクトマネジャー

 

 

日本マイクロソフト株式会社について
日本マイクロソフトは、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。マイクロソフトは、モバイル ファースト&クラウド ファーストの世界におけるプラットフォームとプロダクティビティのリーディングカンパニーで、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています。日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する会社」を目指します。

企業サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/

Azureについて
Microsoft Azure は開発者や IT プロフェッショナルがアプリケーションの構築、展開、管理に使用できる各種クラウド機能を統合した、現在も拡大を続けているサービスの集合体であり、日本の東西のデータセンターのほか、世界規模のデータセンターネットワークを介して提供されています。

サービスサイト:https://azure.microsoft.com/ja-jp/

 

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