エンタープライズDBMS環境としてのAzureの優位性(前編)

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Mr.Saito

クラウド プラットフォーム製品マーケティング部
部長 斎藤泰行 氏

 CEOが三代目となるサティア・ナデラ氏に交代して3年。マイクロソフトは新たなミッションを掲げて事業モデルを大きく再編成しました。中核のひとつとなっている戦略がクラウドであり、同社最大の成長率を示しているビジネスです。マイクロソフトではAzureを「インテリジェントクラウド」として、ユーザー自身のビジネスの成長ドライバとなるさまざまな機能やサービスと連携する基盤と位置づけています。

 そこで今回は、マイクロソフトのクラウド&エンタープライズビジネス本部、データプラットフォームチームのエグゼクティブプロダクトマネジャーである青木卓氏、同本部クラウド プラットフォーム製品マーケティング部の部長である斎藤泰行氏に、Azureの目指すサービスをうかがいました。

CEO交代後、大きく変化したマイクロソフト

–まずは、青木様と斎藤様のお二人に、現在のミッション、役割を伺いたいと思います。

青木氏:
 私たちはクラウドアンドエンタープライズ事業本部に所属しています。この事業部はマーケティングとビジネスマネジメントを中心とした組織で、その中にAzureのクラウドサービス、EMS(Enterprise Mobility and Service)、そして私の所属するSQL/Azureのデータプラットフォームサービスの3つのチームがあります。

 私は主にプロダクトマーケティング活動と、ビジネスマネジメントを担当しています。製品のローンチや、フィールド部門と協力し、戦略的な方向性を定めてソリューションに落とし込むといった活動をしております。

斎藤氏:
 私は青木と同じ事業部で、Azureのクラウドサービスチームを見ています。特にクラウド分野に関しては国内のマーケットがまだ未成熟な状況ですから、マーケット自体を創造していくという役割もあると思っています。クラウドはビジネスの差別化の根幹となるものですので、競争力の源泉としての先進的なクラウド活用事例、フラッグシップ事例をPRしていくことも大きな役割です。

–マイクロソフト社が進もうとしている方向性や、注力していることについてお話しいただけますか。

斎藤氏:
 マイクロソフトの創業時からのバリューは、「Empower people」、「Inclusive design」、「Build trust in technology」の3つです。これは言い換えると、人々にパソコンという力を提供すること、それにより、それまで難しかったことを簡単に誰でも使えるようにすること、そしてそれらはすべてテクノロジーによって成り立っていることです。これが創業以来40年にわたって、マイクロソフトの変わっていない価値提供です。

 しかし、すべてのデスクトップにパソコンをお届けするという創業理念は、もう成し遂げてしまい、新しい理念が必要となりました。

 そのため、3年前に三代目CEOのサティア・ナデラが就任した際、最初に行ったことがコーポレート・ビジョンの再構築でした。それが「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」であり、それを実現するためのプラットフォームを私たちが提供していくというものです。同時に、8つあった事業モデルを3つに再編成しました。

 サティアはこのビジョンを達成するために、3つの”Ambition”-大志というべき高い目標を掲げています。一つめが「Reinvent productivity & Business processes」-より生産性を高めビジネスのやり方自体を変えていく、「働き方改革」のようなものです。次に、「Create more personal Computing」-これはパソコンだけでなくすべてのデバイスに一貫性のある体験を提供すること。Windowsだけでなく完全にオープンで、お客様に寄り添ってリアリティのあるプラットフォームを提供することです。

 残りのひとつが「Build the intelligent cloud platform」-これが私たちの事業の担当エリアで、インテリジェントなクラウドを構築することです。単なるプラットフォームとしてクラウドを提供するのではなく、お客様により多くのことを成し遂げていただき、成長を促進するドライバになるためのクラウドを提供するということです。言わば「第二の創業」を迎えて3年目ですが、この3つの”Ambition”を柱に、いろいろなことが動いています。

青木氏:
 特にこのインテリジェントクラウド領域には、最も経営資源を注入しています。特にAzureの領域はまだ大規模とは言えませんが、前年比で100%近く成長しています。

大きく成長を続けるAzureの強み

–クラウドの世界でAzureはやや後発のサービスですが、後発ならではの戦略とはどのようなものでしょうか。

Mr.Aoki

クラウド&エンタープライズビジネス本部
エグゼクティブプロダクトマネジャー 青木卓 氏

青木氏:
 おっしゃる通り、国内のパブリッククラウドプラットフォームではAzureはナンバー2のポジションです。ただ現在主流のクラウドの主眼はコストとスピードにあり、「今あるもの」をいかに安く、そして早く拡張するかというところに重きを置いています。一方でマイクロソフトは「インテリジェントなクラウド」として、コストとスピードに加えて「差別化したサービス」を提供します。

 クラウドは社会インフラになるべきものですが、井戸から水道を引いて家の蛇口から水が出るようにしたものが現状のパブリッククラウドだとすれば、私たちは、蛇口からいろいろなジュースやお酒が出てくるようにします。

 当社が40年にわたり培ってきたソフトウェア開発力で、IoTやAIなど差別化要因を実装してお客様自身の競争力に転化することができるプラットフォームを提供できます。これをインテリジェントなクラウドと呼んでいます。

–初期はネット系のビジネス等で積極的に使われていたパブリッククラウドですが、ユーザー層は拡大し、状況が変わってきています。Azureの使われ方や業界、アプリケーション、サービスなど、最近の傾向はいかがでしょうか。

斎藤氏:
 AWSさんはSoE(System of Engagement)という、顧客リレーションシップを高めてより利益を得るためにクラウドを使う形態のビジネスでスタートしていますので、伝統的にはB2CやB2B2C企業であるエンタメ企業などモバイルエンゲージメント系の企業に強い印象でした。

 それが徐々にエンタープライズのワークロードへと拡大し、社内システムのコストをいかに下げられるか、いかにアジャイルに立ち上げられるかという領域に入ってこられようとしていると思います。

 一方、マイクロソフトは業種を問わず、もともとエンタープライズのSoR(System of Record)、つまり基幹業務システム部分に強みを持っておりました。商用サーバーで7割~8割のマーケットシェアがあるWindows Serverと、新規に導入される商用データベースの約半分を占めるSQL Serverをご提供してきた実績があるためです。

オープンなマルチクラウドの時代が到来、これからは統合管理がキモに

–AzureとAWSは全く違う土俵からスタートしていて、今ではそれが少し被って来ているということでしょうか。

斎藤氏:
 今のところはそう思っています。ただし、私たちの競争力の源泉は、お客様が「昨日までできなかったことを今日できるようにする」ことですので、AIやIoT、ビッグデータのハンドリング機能等のPaaSのコンポーネントを「包括的なソフトウェアスタック」として提供できているところは一歩秀でているポイントかと思います。

–それ以外にも貴社独自の特徴はありますか?

斎藤氏:
 マイクロソフトはIDマネジメントの基盤であるActive Directoryを持っていますが、すでにAzure上に統合されています。

 実はすでに1,200万の企業が、AzureのActive Directoryで統合認証基盤を作られていますし、そこに登録されている人間の数は約7億5千万人と言われています。地球上にいる人間のうち約8〜9人に1人は、今の時点でAzure Active Directoryから認証を受けてSaaSサービスを使っていることになります。

 SaaSが普及する中、しっかりとしたID管理のできていない「野良SaaS」も増えていますが、Azure Active DirectoryでIDを統合することで、今そこにあるSaaSシステムを含めた統合管理が可能になります。

–複数のクラウドを横断した管理基盤が実現されるということでしょうか?

斎藤氏:
 世の中はマルチクラウド時代に突入しています。既に何らかのIssS基盤でサービスを構築済で、今からAzureのPaaS上で新しいサービスを作るケースもあるでしょう。ソフトウェアレイヤーに関してはSFDCやOffice 365を初めとして多くのチョイスがあります。ここで必要とされてくるのは、マルチクラウド環境での統合管理基盤です。

 そこでマイクロソフトでは、「マルチクラウドをクラウド上で管理するオペレーションマネジメントとセキュリティマネジメントの機能」もPaaSとして提供しています。シングルウィンドウで複数のクラウドをマネージできる。シングルIDで複数のソフトウェアスタックをマネージできる、という世界観です。

 マイクロソフトの目指すインテリジェントクラウドは、もはや垂直統合を目指しているわけではありません。今あるものを安く、アジャイルに提示していくことに関しては、それを得意としているベンダーをお使いいただく。そして、自社のポリシーや市場のコンプライアンス上、どうしても自社で管理しなければならないところは、Azureのインテリジェントなクラウド環境と、セキュリティを担保する統合管理基盤を使っていただく。

 マイクロソフトは、「Not Only Azure, But Also Multi-cloud」という世界を目指してインテリジェントクラウドを推進しています。サティアになってからいろいろな企業と提携を発表していることは、まさにこういったオープンな環境を目指しているからなのです。今、Azure上での新規仮想マシンのOSはWindowsとLinuxが半々の割合になっています。特にRed Hatは日本ではポピュラーですので、Linux VMの日本の稼働比率は他の国よりも数ポイント高いです。

 

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